2006年11月26日

お勉強は続く

ソフト屋というのは、けっこうつぶしが利かない職業です。
なぜなら、技術があっという間に陳腐化するから。
これは、時間の経過に左右されない中核的な知識体系が整備されていないからだ、という主張があります。つまり、技術的課題を解決が、職人的なやり方で行われており、工学的なアプローチでないから、ということです。
実際、情報工学科を卒業していなくとも、ソフト屋として働いている人はたくさんいます。工学ですらなく、文学部卒すらいます。それでも普通に仕事をしています。

この原因には、2つの側面があります。就職した後のOJTを中心とした社内教育で技術を身につけさせていたということと、大学を始めとする教育機関が必要な教育を施すことができなかったことです。
逆説的ですが、情報工学を専攻した人間は、会社からあまり期待されてなかったとも言えてしまうでしょう。だって、文学部卒でいいんだから。

文学部よりはまだ近いですが、私も電子工学科卒なので、ソフトウェア工学は素人です。学部の専門科目にソフトウェア工学はありましたが、ひどいことにC言語のお勉強でした。まあ、アルゴリズムのお勉強ではあるので、完全に間違ってはいないのですが、C言語の文法を知っていることがソフトウェア工学なのかと絶望した記憶があります。

で、適当に就職活動をしてソフト屋さんになってしまった私ですが、それなりに後悔はしています。この業界ほんとにだめ。あ、うちの会社が駄目なだけかもしれないけど、たぶん管理はそれなりにされているし、雑誌などを見る限りは最悪でもないっぽい。平均値よりは少なくともマシでしょう。それでもやっぱりだめ。カイゼンができていない。CMMIのレベル2ぐらい? 標準はあっても生かせてない。数字取るのが目的化してる。少なくとも現場はまったく感謝してない。そんな感じ。

ともあれ、腐ってても飯は食えんので、勉強できることは勉強しようと、就職してから何度か目の再挑戦をしようかと。
調べてもみれば、ソフトウェア工学ってのは、ある程度の成果は出ていて、中核的な知識というのも存在はするようです。
とりあえず、高い本を買ってみました。

実践ソフトウェアエンジニアリング
ロジャーS.プレスマン著 / 西 康晴監訳 / 榊原 彰監訳 / 内藤 裕史監訳 / 古沢 聡子訳 / 正木 めぐみ訳 / 関口 梢訳
日科技連出版社 (2005.2)

まあ、この本の良し悪しはよく知りませんが、標準的な教科書のようなので。
で、教科書だから大学で使われてるのかなーと思って奥付け見てみたら、監訳者が電通大の講師でやんの。
実際、この本は、T科のソフトウェア工学特論の教科書で使われているのでした。

で、学部のソフトウェア工学の授業でも、この本に載っているようなトピック扱っているらしい。
J科のシラバスT科のシラバス
で、私が受けた電子工学科のソフトウェア工学という授業は、応用プログラミングという名前に変わっていたのでした。やっぱり看板に偽りありはまずかったのかねえ。

ともあれ、こういうことは情報処理の試験にも出るので、一応業界としててある程度の自覚はあるくさい。少なくとも、大学も何もしていないわけではなかったわけだ。ただ、現場としてはエンジニアリングする意識は非常に低いと思われ。最低限の素養として、このくらいは知っといた方がいいと思うんだけれど。その辺、みんなどう思っているのやら。

投稿者 nohe : 2006年11月26日 23:35 | トラックバック
コメント

今私がお世話になってる会社の先輩もnoheさんが冒頭で語っていたような話をしてました。
曰く「’90年代は書籍関係も整備されてなかったために『知ってるだけ』で飯が食えたが、今会社で使うレベルの技術はすぐ手に入る。自分の年齢を考えると(※30代半ばの人……だと思う)一朝一夕で得ることが可能になった分野で勝負するのは難しいと思った」とか。

自分(や、同じようなレベルの人)が1年かそこいらで身につけられるスキルというのは、つまり来年の新人も1年経てば自分と同じくらいレベルが上がるということで、その追いかけっこを何十年も続けるのは確かに私には無理かも……なんて思ってしまうのでした。まぁ1年後「飽きた」とかいって辞めてるかもしれませんがwww

Posted by: うにゅぅ@NiKe : 2006年11月27日 23:38

あ、めずらしい人がいる。
ようこそ。

本文でも書いてるけど、これから勉強することは10年後も通用することを選ぶようにしないと、後から勉強する人には絶対勝てない。
で、普通の人はどうするかというと、人あしらいの仕事をするようになる。要するに管理屋だね。でも、管理畑でも今じゃ知ってるべきことはたくさんあるし、上は潰しが効かなくなった人がひしめいてるから、そろそろそんな逃げ道もなくなってくるんじゃないかね。
うちの会社はバブル入社組が多くて、年齢構成がいびつだしね。たぶん、どこの会社もそう。

というわけで、八方ふさがり。
できることやるしかないんだけどね。

Posted by: nohe : 2006年11月29日 02:23

#やばくない程度にコメント。。

>標準はあっても生かせてない。

標準は「自Gr内で作っていくもの」と思っています。
もっといえば自分がルール、とさせることもできるのが
この業界だと思っています。。
それを生かすも殺すも自分も含めた環境次第だと思います。
#生かしきれておらず、殺しちゃってる気がする自分。。。。

ちなみに自分の中では、現在の環境は・・・
「知識を身につける環境はいくらでもあるが、技術を身につける環境がない。そういう環境がほしい」
と思っていたりします。

Posted by: ふぢお : 2006年12月01日 01:24

> 標準は「自Gr内で作っていくもの」と思っています。
> もっといえば自分がルール、とさせることもできるのが
> この業界だと思っています。。

それが良くない、というのが本論の趣旨でもあるわけです。
開発標準なんてどこのグループが作っても似たり寄ったりでしょう。
なら、それがなぜ標準化されていないのか。
個別の事情により異なると言っても、共通して使いまわせるものはあるはずです。
逆に、どこが個別に異なるのかを洗い出されているべきでしょう。
ソフトウェア工学ってものがあるとすれば、その使いまわせる雛形を提供するってことだと思いますよ。
勉強してみるってのも、世の中に存在する雛形が使い物になるかどうかを検証するという意味合いもあります。
他人がやった仕事の成果で楽ができるならそれに越したことはないわけで。


> 「知識を身につける環境はいくらでもあるが、技術を身につける環境がない。そういう環境がほしい」

それは私も似たようなものですし良く思ってました。
が、最近は「その『技術』ってなんだ?」とも思っています。
設計の技術ってどうやって身につけるのか。今の環境で、できることはなんなのか。
それを考えると、まずは身につけやすい「知識」からになるのではないかと思うわけです。

そもそも、「技術を身につける環境」ってどこにあるのか。
要求仕様書書いてたときは、設計やコーディングができる環境だと思ってましたが、そう単純な話でもなく。
でも、実際にコードを読んだり書いたりするのは、「技術」を身につけるのに役に立つことだとは思います。
少なくとも、私にはその絶対量が足りない。

とりあえず、実益も兼ねて、Lightweight Languageを1つ身につけて、できるだけコードを書くようにしようかと思っている今日この頃です。

Posted by: Nohe : 2006年12月03日 14:15
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