2004年11月27日

集団Diplomacy考

前回のエントリで言及した集団Diplomacyについてもう少し精緻に論じてみましょう。論点は大きく分けて2つあると思います。
 1. Diplomacyのゲームシステムをどこまで使うか
 2. 国家指導者以外のプレーヤーの参加の仕方をどうするか

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 まず第1の問題についてですが、Diplomacyというゲームの醍醐味はどのようなところにあることから考えます。私は、交渉・読み合い・情報戦などがこのゲームの面白さだと思っています。それに対して、盤面で取れる手段はシンプルであり、ゲームの本質的面白さはコマの動かし方ではないと考えています。ゲームシステムのうち盤面上の動きなどは相対的に小さな問題であり、集団Diplomacyでそのまま導入しても良いと考えています。それで国家間バランスが維持できるかどうかは別問題ですが。
 このゲームは通常7人で行われるわけですが、ゲーム理論的に言うと多人数ゼロ和ゲームになると思います。しかし、ゲームの規模が大きいため、ゼロ和的な利害をしのぎあいの局面だけではなく、WinWinの協力的な局面がしばしば見られます。このバランスをめぐる交渉がこのゲームの本質であると私は考えています。通常のDiplomacyは、第一にネゴシエーションゲームなのです。

 それに対して集団Diplomacyでは、国家指導者以外のプレーヤーが多く存在します(本稿ではその他プレーヤーと呼びます)。このプレーヤーをどう位置づけるかは、ゲームの本質へ大きな影響を持ちます。これが冒頭の第2の問題です。
 その他プレーヤーが一定以上の影響力を持った場合、一国の内部での交渉が必然的に発生します。つまり、交渉という側面に絞って考えても、多国間交渉と国内交渉に二重化し、ゲームは格段に複雑になります。
 さらに国内交渉で問題となるのが、その他プレーヤーによる情報漏洩です。情報は、かかわった人間の数の二乗に比例して漏洩しやすくなるなどと言われており、「集団Diplomacy」のようにコミュニティを形成するようであれば、その内部の情報を外部へ漏れないようにするのは現実的には難しいでしょう。人間関係破壊ゲームでは紳士協定に期待できないでしょうから。
 よって、盤面の移動に直結するようなコア情報は、一般のその他プレーヤーには与えられないと考えるべきです。このような状況では、必然的にその他プレーヤーは盤面の移動に直接の影響は与えられません。逆に、断片的な情報のやり取りが発生し、それが他国へ影響することによる情報戦が活発になるかもしれません。

 これに対し、プレーヤーのレベルを階層化することも考えられます。つまり、国家指導者・陸海軍の指揮官・議会の構成員・一般国民などのように参加の仕方を分けるということですね。これによって、情報の重要度に応じて接する人間の数を変化させることが出来ます。
 この方法の利点としては、各プレーヤーのペルソナがある程度与えられることです。ここで言うペルソナというのは、その場における立場のようなものです。その場に応じた仮面を使い分けて人間は行動する、という考え方ですね。なぜペルソナが与えられることが重要かというと、役割分担を実行することによる動機になりうるからです。たとえば、フランス陣営にいたとしても、ドイツマニアであればドイツびいきの意見を言ってしまう可能性があるわけです。しかし、フランス陸軍総監であれば、フランス陸軍にとって有利な決断をすることが立場的に求められるわけで、それに反した行動はフランスの世論や陸軍内部から反発をうけることになります。
 この役割分担法の欠点としては、命令系統が複雑化し権限が分散してしまうことがあります。命令に従わないことによるペナルティが明確になければいけないと、私は考えています。権限には責任を伴うということです。これをシステムとしてどう表現するかがゲームバランスに大きく影響します。最も影響が大きいのは、国家指導者の責任をどうするかでしょう。
 いわゆる民主主義的なシステムで国家指導者を選ぶというのが順当なところだと思いますが、現実世界で民主主義的システムが最適に動いていないように、効率は悪くなってゲームバランスが崩壊する可能性もあるでしょう。むしろ、そのぶっ壊れたゲームバランスでお祭り騒ぎするのを醍醐味とするようにゲームの本質を変える必要があるのではないでしょうか?

 結論としては、集団型Diplomacyでは多かれ少なかれゲームシステムの変更が伴い、ゲームの本質が変化せざるをえないと考えています。切り込み隊長自身によって語られている通り、ゲームの中心は国家指導者間の交渉から国内外への宣伝戦・情報戦へと移り、ゲームの盤面の動きはその味付けに過ぎなくなるでしょう。よって、ゲームの得点というべきものも変化すべきだと私は考えており、ゲームの目的も単純に過半数の補給都市を押さえること以外のものを導入すべきだと考えています。実際に集団型Diplomacyを実現するとしたら、これらの問題をシステム的にどう表現するかが焦点になると考えています。
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番外編として、多人数相互干渉型のゲームとして、違った形のものを考えています。封建国家をモデルにしたもので、上下関係のある多国間関係を表現できるようなものを考えています。ある程度まとまったら後ほどエントリを書こうと思います。

投稿者 nohe : 2004年11月27日 15:07 | トラックバック
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